第49回 ゴルフとチョコレート
20076.1
ゴルフとチョコレートと聞いてピンと来る人は古くからのゴルファーである。 ゴルファーと言うものは、ゴルフの腕前が少し上がると、単なる球打ちとスコアメイクを楽しむプレーより、どっちが「勝った、負けた」の勝負を楽しむプレーが楽しくなるものである。 いわゆる握りである。
握りとは、対戦相手と納得できるハンディキャップをお互いに取り決め、話し合いが成立すると握手する、その握手からきたものである。 いまだに気合が入っているプレーヤー達は握手してプレーに入る。 握手はしなくても「今日もいつもの握りで行こう」などと、ごく自然に行く人達もいる。
この握りお金のやり取りは法に触れるので、お金の代わりにチョコレート(当時は一枚50円)で行われていたのである。 いつの頃からそのような握りになったのかは知らないが、私の高校時代(1960年代の初め)すでにチョコレートはやり取りされていた。 当たり前かもしれないが当時、まじめにチョコレートで支払われていた。 大きく勝った人はテーブルの上にチョコレートを積み上げ満足げな様子だったのを覚えている。
私が知っている握りのチョコレートはコースの売店で売っている市販のものであったが、つい最近見つけた1965年のゴルフ雑誌にはコースオリジナルパッケージのチョコレートが沢山掲載されていた。いろいろなコースがロゴ入りの独自のものを作っていたのには驚いた。訪れたビジターが握りに勝って貰うチョコレートがコースオリジナルなら記念にもなるし、良いお土産になる。 懐かしいチョコレートでの握り、いつの間に消えてしまった。 チョコレートがテーブルに積み上げられている光景を今見ることはない。
余談になるが、このコースオリジナルのチョコレートを製造していたのはアクタガワと言う会社であるが、何と偶然にもここ数年毎年私はこのアクタガワの特製チョコレートをゴルフスタジアムの女性社員から戴き、口にしていたのである。 1965年のゴルフ雑誌にはゴルファーのチョコレートと言ううたい文句で50余年のチョコレート創りとあり、すごい歴史と思った。薄ら覚えで「アクタガワ」その時直感的に「もしかして」と思ったが、そのチョコレート屋さんが同一の会社とは、何とも楽しい不思議なめぐり合わせに一寸ばかり興奮した。
次回更新予定:2007年6月8日